税理士の転職時期はいつ？

税理士の転職は、年間を通じて機会がありますが、時期によって求人の動向や活動のしやすさが異なります。会計業界の繁忙期や閑散期、希望する業種、ご自身の状況などを踏まえて、計画的に活動を進めることが大切です。ここでは、転職活動を行う際の各時期の特徴について紹介します。

繁忙期・閑散期を踏まえて動く

会計業界の季節的な業務サイクルは、転職活動のタイミングを考える上で重要な要素です。

春（3月～5月）の転職

確定申告業務が落ち着き、転職を考える税理士資格者が増える時期です。求人数も増加傾向にあり、転職市場が活発になります。すぐに活動を始めるか、担当法人の決算が落ち着いてからにするか、自身の業務状況に合わせて判断し、まずは情報収集から始めるとよいでしょう。

夏（6月～8月）の転職

繁忙期が一段落し、会計業界の採用活動が活発になる時期です。多くの会計事務所が組織体制の見直しを行い、人材獲得に動きます。転職希望者は、比較的落ち着いて自身のキャリアプランを考えながら、情報収集や応募先の検討を進めやすいという利点があります。

秋（9月～11月）の転職

年末調整や確定申告といった繁忙期を前に、会計事務所の採用意欲が高まる時期です。特に実務経験を持つ税理士資格者にとっては、経験やスキルに応じて、転職しやすいタイミングともいえるでしょう。事務所側は繁忙期前の入社を希望することが多く、年内の入社を条件とされる場合もあります。

冬（12月～2月）の転職

多くの会計事務所が繁忙期に入るため、転職活動を行う人が少なくなる時期です。しかし、採用活動が完全になくなるわけではありません。そのため、離職中の方や、現職がこの時期に多忙でない方にとっては、競争相手が少なく、選考の機会を得やすい時期といえます。

業種によって転職時期も変わる

転職を希望する業種によっても、求人が増える時期や採用の傾向は異なります。

会計事務所・税理士法人

担当するプロジェクトによって繁忙期は異なりますが、一般的にはクライアント企業の決算後1～2ヶ月が忙しくなる傾向です。M&Aのような専門的なプロジェクトに関する求人は、時期を問わず必要に応じて行われます。事業拡大に伴い、年間を通じて人材を募集しているファームも多く見られます。

事業会社

経理部門などでの募集は、欠員補充や事業拡大に伴う増員が主な理由となるため、求人が出る時期は特定の季節に偏りません。年間を通じて定期的に求人情報を確認することが重要です。求人によっては、事業会社での経理実務経験が重視される場合もあるため、応募条件をよく確認する必要があります。

コンサルティングファーム

担当するプロジェクトによって繁忙期は異なりますが、一般的にはクライアント企業の決算後1～2ヶ月が忙しくなる傾向です。M&Aのような専門的なプロジェクトに関する求人は、時期を問わず必要に応じて行われます。事業拡大に伴い、年間を通じて人材を募集しているファームも多く見られます。

科目合格者に合った転職時期

税理士試験のスケジュールも、科目合格者の転職時期に大きく影響します。

試験前の夏（6月～8月）

税理士試験の直前は勉強に集中する時期ですが、近年は採用活動が前倒しになる傾向があります。特に大手や中堅の税理士法人では、試験前に人材を確保しようと積極的に採用を行います。応募者が少ないため、試験後の入社を前提に、早い段階で転職先を決める方も増えています。

試験後の秋（9月～11月）

税理士試験が終わると求人数が大きく増加し、転職市場の動きも活発になる傾向があります。科目合格者を対象とした採用を行う事務所も多く、応募者と採用側の双方にとって意欲が高い時期です。選考のスピードが速い傾向があるため、試験後は早めに情報収集と応募準備を始めることが望まれます。

合格発表後の冬（12月～2月）

11月下旬～12月中旬に行われる税理士試験合格発表を待ってから、転職活動を本格化させる方が多い時期です。会計事務所での実務経験があり、合格科目数を増やした若手から中堅層の動きが目立ちます。会計事務所は繁忙期に入りますが、採用ニーズは継続しているため、積極的に情報を集めることが大切です。

繁忙期明けの春（3月～5月）

確定申告の繁忙期を終えた実務経験のある科目合格者が、新たなキャリアを目指して活動を始める時期です。これに合わせて求人数も増加します。複数の事務所の条件を比較検討しながら、自身の経験や希望に合った転職先をじっくりと探すことができるタイミングです。