税理士転職時の志望動機の書き方

税理士として新たなキャリアを築こうと考えたとき、必ず直面するのが「志望動機の作成」です。転職市場において、志望動機は自分の経験や熱意を採用担当者に伝える重要な要素になります。

税理士業界は専門性の高さと人材不足が重なっており、意欲的な人材が求められています。ここでは、税理士転職を検討する社会人が参考にできる志望動機の書き方と、面接でのポイントを紹介します。

中長期的な視点を持つ

志望動機を考える際には、短期的な希望だけでなく、中長期的なキャリアプランを描くことが大切です。例えば、「顧客の事業承継支援を通じて、長期的に寄り添いたい」や「数年後には国際税務分野に挑戦したい」といった目標を示すと、採用側に将来性を印象づけられます。

税理士法人や会計事務所は、専門スキルの積み重ねで顧客との信頼を築いていくため、継続性や成長意欲を持つ人材を高く評価します。単に「転職して働きたい」という短期的な理由だけでなく、数年先を見据えたキャリアビジョンを明確にすることが、説得力のある志望動機につながります。

年齢も強みとしてアピールする

税理士転職では、年齢を不利に捉える必要はありません。むしろ、社会人として積み重ねてきた経験は大きな強みになります。例えば、30代後半から40代前半であれば、マネジメント経験や営業経験を活かして、顧客対応力や組織運営への貢献を具体的に示すことが可能です。

税理士法人は専門知識と同時に、顧客との関係構築や後輩育成など幅広いスキルを求めています。「年齢＝即戦力」として捉え、自分ならではのキャリア背景をアピールすることを意識しましょう。

転職理由を整理しておく

志望動機を作成する前に、まず転職理由を整理しておくことが重要です。「資格を活かしたい」「より専門性を磨きたい」といった動機はもちろん、前職での課題や成長の限界をどう感じたのかを言葉にしておきましょう。

ただし注意点として、前職への不満をそのまま伝えるのは逆効果です。「顧客により深く関わりたい」「幅広い税務領域に挑戦したい」といった前向きな表現に変換し、志望先法人の特徴と結びつけることで、納得感のある志望動機になります。

採用のメリットを書いておく

採用担当者が注目するのは、「採用することで法人にどんなメリットがあるのか」という点です。自分のスキルや資格を整理し、具体的にどう役立つかを示しましょう。

例えば、「相続税分野での実務経験を活かし、高齢化社会に対応したサービス強化に貢献できる」や「英語力を活かして国際案件の対応に携われる」といった形で伝えると効果的です。志望動機を自分目線だけで終わらせず、「採用するメリット」として整理することが、面接官の心に響くポイントになります。

面接でのポイント

面接の際には、以下のポイントを押さえて準備しましょう。

税理士法人を希望した理由を伝える

面接では、なぜその法人を選んだのかを具体的に説明する必要があります。「教育体制が整っているから」「資格取得を支援してくれるから」といった表面的な理由では、ほかの応募者との差別化ができません。

法人ごとの業務内容や経営方針を調べ、自分のキャリアプランとどう結びつくのかを語ることが大切です。「貴法人の事業承継支援に共感し、これまでの営業経験を活かして顧客との信頼関係を築きたい」といった具体的な説明が好印象につながります。

アピールできるスキルを決めておく

面接では、自分が最もアピールできるスキルを1つか2つに絞って伝えることが効果的です。「幅広く何でもできます」と話すよりも、「相続税申告業務の経験があり、実務対応に即戦力となれる」や「チームマネジメント経験を活かして若手指導に貢献できる」といった明確な強みのほうが印象に残ります。

税務の知識や資格だけでなく、顧客対応力や課題解決力といったソフトスキルも加えることで、多面的な魅力を伝えられます。