税理士で独立開業するには

税理士が独立開業する前に知っておくべきこと

税理士として独立開業を考えている場合、まずはどのようなメリットやデメリットがあるのか、そしてどのような道のりを進む必要があるのかを把握することが大切です。

独立開業のメリットとデメリット

自由度・裁量が大きい

どのような顧客層を相手にするか、また仕事の進め方や働く時間帯などを自ら決められます。自分のやりたい分野に特化したり、新たなサービスを検討したりといった柔軟な展開が可能です。

成果次第で収入がアップしやすい

勤務税理士の場合、どれだけ頑張っても給与体系の制約があります。しかし、独立開業すれば顧客数や案件の単価を増やすことによって、若い年代から大きく年収を伸ばせる可能性があります。

定年がない

所属先の定年制度に縛られず、健康であれば長く働き続けることができます。生涯収入という観点でも、長期的なメリットを享受しやすいです。

収入が不安定になりがち

開業当初は顧客を獲得しづらく、営業活動に苦労するケースがあります。顧客離れや景気の変動などに左右されるため、収入が大きく変動するリスクを抱えます。

自己責任の範囲が広い

勤務時代であれば上司や先輩に相談できた業務でも、独立すればすべてを自分で判断しなければなりません。経理・集客・人事など、実務以外の対応にも追われることになります。

実務経験2年以上が必須

実務経験を積まなければ独立開業の手続きはできません。監査法人や税理士事務所などで少なくとも2年の経験が必要です。

勤務税理士と開業税理士の年収の傾向

税理士は平均年収が高い職業として知られますが、勤務税理士と開業税理士とでは実際の状況に差があります。

勤務税理士(所属税理士・社員税理士)

平均年収は500~600万円台が一つの指標ですが、大規模法人へ勤めると1,000万円を目指すことも可能です。ただし、高年収になるにはある程度のキャリアや実績を積む必要があります。

開業税理士

平均年収は600~700万円と言われていますが、実際には年収300万円未満の方から1,000万円を超える方、3,000万円以上を稼ぐ方など、幅広い状況が見られます。成果次第で大きく稼げる一方、安定しにくい面もある点に注意が必要です。

独立開業までの流れ

税理士試験合格+実務経験2年以上

税理士法に基づき、通算2年以上の実務経験が必要です。会計事務所や税理士法人に勤めながら試験勉強をする方法が一般的です。

税理士登録申請と税理士会への入会

登録免許税と入会金、年会費などがかかります。支部会への加入もしなければならず、書類審査や面接も行われます。

開業資金の準備

事務所をどこに構えるか、ITツールをどう準備するかによって必要資金は大きく異なります。融資制度を利用するかどうかも含めて検討が必要です。

開業届の提出と集客活動

開業後はすぐに売り上げが立たない可能性もあるため、ホームページやSNS、他士業との連携など、開業前から集客ルートを構築しておくことが望ましいです。

税理士の独立開業に必要な準備と費用、心構え

将来的に安定して業務を行うためには、詳細な計画と十分な資金が不可欠です。

開業に必要な主な費用と資金繰り

税理士登録費用

  • 登録免許税・手数料:合計11万円
  • 税理士会入会金・年会費:初年度25万円程度、翌年以降は毎年10万円程度(地域によって異なる)
  • 登録研修や支部会への参加費用:数万円~

事務所関連の費用

  • 自宅開業:初期費用はほぼ不要ですが、顧客対応やスタッフ雇用などで難しさが出る場合があります。
  • レンタルオフィス:敷金などの負担が小さく、月2~3万円程度から契約できるケースもあります。設備も充実しており、開業初期におすすめです。
  • 賃貸事務所:駅近の物件は家賃が高く、敷金・礼金も数ヶ月分必要になります。立地のよさにより得られる信用はある一方、初期費用が高くなる点に注意が必要です。

ITツールや設備

  • パソコン・プリンター・複合機:数万円~数十万円
  • 会計ソフトや税務申告ソフト:一括購入型、クラウド型(毎月数千円~)など選択肢あり
  • ホームページ制作:無料で自作することも可能ですが、外注するなら20万~30万円程度のコストがかかる場合があります。

生活費の確保

独立後すぐに顧客が獲得できるとは限りません。半年~1年分の生活費を備えておくことで、焦りを抑えつつ事業に集中できます。

オフィス形態の比較

形態 初期費用 月額費用 特徴
自宅開業 ほぼ0円 0円 開業コストを抑えられるが、来客対応に不向き
レンタルオフィス 敷金など低め 2~3万円程度 インフラが整備されており、移転もしやすい
賃貸事務所 高額 10万円~数十万円 立地や広さによっては信用を得やすいが、費用負担が大きい

独立前にやっておくと良いこと

営業・コミュニケーション力の強化はもちろん、税理士としての専門知識も重要です。独立後は自ら顧客を獲得しなければならないため、以下の点を意識して準備しましょう。

  • 営業・コミュニケーション力の強化
  • 得意分野の確立
  • 他士業との連携
  • 賠償責任保険などリスクマネジメント

実務経験の積み方

独立を目指す際は、さまざまな実務経験を積むことが重要です。

会計事務所や税理士法人で働く

一般的な方法です。実務経験を積みながら税理士試験の勉強を並行することで、効率的にキャリアアップが図れます。

監査法人勤務

公認会計士資格を視野に入れるなど、キャリアパスが広がる場合もあります。ただし、税理士業務への直接的な経験がどの程度積めるかは確認が必要です。

一般企業の経理部門

税理士登録に必要な実務経験として認められるため、勘定科目の仕訳や財務諸表作成など、幅広い領域で経験を積むことが可能です。

独立開業後の集客戦略・成功のポイント

事業を軌道に乗せるためには、専門性の確立と効果的なマーケティングが不可欠です。

開業後の集客方法

  • ホームページ・SNSの活用:自分の強みや実績を明確に記載
  • ブログやメルマガで税務関連情報を発信
  • 税理士紹介サイトやマッチングサービスの利用
  • 異業種交流会・士業連携、商工会議所や銀行とのネットワーク構築

差別化戦略と専門性の磨き方

  • 特定業種への特化(例:飲食業、医療、IT、不動産など)
  • 経営コンサルティング分野への発展
  • 相続税や事業承継の専門家になる

成功するために大切なポイント

  • 自己管理能力:健康管理やスケジュール管理が売上に直結
  • 継続的な学習と情報収集:税制改正やツールに対応
  • スタッフやチームの活用:業務の効率化と拡大を図る
  • 保険やリスクマネジメント:万が一のリスクに備える

まとめ

「なぜ独立開業するのか」をはっきりさせることが重要です。年収アップ、自由な働き方、やりがいなど、明確な目的がなければ不安定な時期を乗り越えるのは難しいでしょう。

また、専門性と差別化が必須となります。独自の強みを打ち出し、コンサルティングや業種特化を目指すべきです。

さらに、計画的な資金・事業計画の準備、そして人脈づくりと継続的な学習が成功への鍵となります。これらの要素をバランスよく整え、明確なビジョンを持って行動することで、独立後の成功に繋がるでしょう。

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参照元:マイナビ税理士公式HP(https://zeirishi.mynavi-agent.jp/
(2024年11月1日調査時点)